2ページ目のお話し





 次の日の朝早く、ストッという、物がどこからか落ちたような音で沙羅は目を覚ましました。
何だろうと周りを見渡すと、沙羅の側で寝ていたアーネストがベッドから降りた音でした。

 アーネストは、ベッドにそって、壁の方に近づくと、また、壁をつたって、ドアの方に歩いていきました。
沙羅は、何であんな歩き方をするのかとても不思議に思いました。

 アーネストがドアに近づき、もう少しで辿り着こうとした瞬間、壁に立てかけてあったモップがゆっくりとアーネストに向かって倒れて来ました。
ゆっくりなので、アーネストはよけるだろうと考えていた沙羅の予想は見事に外れ、アーネストに直撃してしまいました。
キャウンと声を出すアーネスト。
「大丈夫?アーネスト」
沙羅はそう叫んでアーネストの側に駆け寄りました。

 沙羅の声と、アーネストの鳴き声でリサも起きて沙羅の部屋にやってきました。
「どうしたの、沙羅、アーネスト」
沙羅はアーネストに起きた不幸をリサに話しました。
「そう、それはびっくりしたわね、アーネスト。そして、ごめんなさいね。こんなところにモップを置いたままにしてしまって」
そう言うとリサはアーネストを抱き上げて頭を撫でてやりました。

 沙羅ははっとして、リサの顔を見つめました。
リサはアーネストの頭を撫でながら沙羅の方にほほえみました。
「そうなの、アーネストは目が見えないのよ」
沙羅は、そうだったのねとアーネストの歩き方に納得をするのでした。

 「少し早いけど、朝ご飯にしましょう。そうそう、アーネスト、きっと、外に出たかったのね。」
そういうとリサは玄関の方に行き、ドアを開けるとアーネストをおろしてやりました。
アーネストは、鼻をクンクンさせ、たどたどしく自分の目的の場所に歩いていきます。
木陰のような所にくるとしゃがみこみ、しばらくするとまた鼻をくんくんと鳴らしながらドアの方に戻ってきました。

 そして、自分の餌の皿の横にある水飲み用の皿の所に来て、ぺちゃぺちゃと言わしながら水を飲み始めました。
アーネストが心配だった沙羅は、その動作が終わるまでアーネストを見守っていました。

 やがて美味しそうな匂いがしてきました。
沙羅は顔を洗っても以内自分にはっとして、洗面所の方に向かいました。
沙羅が、顔を洗って帰ってきた時には、きれいな皿がテーブルの上に並んでいました。
「リサさん、私もお手伝いします」
元気な声でリサに呼びかけると、
「ありがとう、じゃあ、バスケットのパンをお皿に並べてくれるかしら。細かくちぎってあるのはアーネストのよ」
という声が返ってきたので、沙羅は言われたとおりにしかもとても幸せそうにパンを分け始めるのでした。

 やがて、ミルクとチーズ、そして果物を持ってリサがやってきました。
楽しい食事が始まりました。

 沙羅は、こんなに心から笑顔になりながら朝食を取るのはどれくらいぶりだろうと、とても清々しい気分で朝食を楽しみました。




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